リペアの仕事で個人的に知りたいことがあり、靴のリペア職人の元へ。
『LOGGER(ロガー)』の末綱(すえつな)さんの友人が営む、『Philson’s Shoe Repair (フィルソンズシューリペア)』へ足を運んだ。小田急線の鵠沼海岸駅に降りるのは、おそらく30年ぶり。高校時代、16歳で波乗りを始めて電車で海に通っていたときに使っていた駅。小田急線の鶴川駅からバスに乗って通っていた和光高等学校、帰路とは逆方面の鵠沼海岸駅にふら〜と降り立ったりしていた。
フィルソンズは駅から徒歩1分くらい。末綱さんが事前に話をしてくださっていたようで、「ことりです」とご挨拶しただけでことの経緯をわかってくれていた様子だった。山森さんはたくさんの靴(主にはメンズのドレスシューズが中心かとお見受けしたが、スニーカーやサンダルの修理もちらほらあった)に囲まれて、修理からレジから、コンパクトな工房の中でひとりで切り盛りしていた。最初、あんまり目が合わなかった。お忙しいタイミングでご迷惑だったかなと思ったが、そうじゃないとすぐにわかった。それは山森さんの言葉の選び方や、体の動かし方、説明の仕方、一瞬目が合ったときの瞳の美しさ、指先、笑ったときのくしゃっとした感じで、すぐに誤解だったと気付く。
すごく上手に話す人がときどき苦手だ。悲しいくらいに終始笑顔の人が怖い。そういうとき、心が硬直して、じぶんの体温が下がるのがわかる。反対に、言葉が詰まる人、どうしようと困っているのが表情や動きに出ている人の方がむしろ好きで、安心感をいただく。子育てをしていて、娘があかちゃんだった頃や、言葉をうまく持てていない3歳くらいのとき、そんな瞬間がたくさんあった。その素直さ、困惑さ、沈黙さえ、彼女を包む全てが素敵で愛おしくて。言葉なんていらないとすら思って見つめていた。
山森さんには、リペアの知識とテクニックで質問というかご相談をしたあと、気に入っているカンペールのブーツのソール修理と、エコーのブーツのすぐにほどけてしまうシューレースのストレス問題でご相談。仕上がりがたのしみ。それにしても連日暑い。帰路に着くまで、鎌倉で寄り道のはしご。友人が営む『sahan(サハン)』でビールを一杯、先輩が営む『cafe vivement dimanche(カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ)』でコーヒーをもう一杯。給水ポイントみたいに、エアコンの効いた室内でちょこちょこ何かを飲まないと身の危険を感じる今日この頃。夏、好きなんだけどね。