金沢・富山から帰宅。はじめての北陸エリア。関西出身の夫のルーツは石川県にあり、一度は行こうと話していたのでやっと。噂には聞いていたが、海鮮やおでんや日本酒が衝撃的においしくて、ひたすら飲んで食べる。金沢市内は観光地ならではで交通機関がとても発展しており、移動が便利だった。バスがどんどんくる、すこし博多に似た感じ。
夫と結婚してから、旅先に美術館があると予定に組み込まれることが、新婚時代は苦痛で仕方がなかった。芸術に興味がなかったし、今もそこまで興味はないのだが、それも主張しているのだが、頑なに予定にねじ込んでくる。そのうちに、興味は出なくとも心は慣れてきている適応力のたかいじぶんがここにいる。で、今回も金沢21世紀美術館へ。有名なプールのあれは、インスタグラムなどで見たことがあったのでうっすら知っていたが、そこが予約制だということは知らなかった。当日の朝9時からオンラインで時間予約を取れるとのことだが、すぐ売りうきれるらしい。「おのおの、抜かりなく」とデジタル弱めの指揮官(夫)。夫と娘のふたりは5Gで、わたしは4G。9時ジャストにスマホで一斉エントリー。あまり期待されていなかったが、見事1位を勝ち取ったのは打ち込みがはやい4Gのわたくし。「5Gにあぐらをかいてちゃダメだよ」とマウントしながら美術館へいき、兼六園では茶華道部の娘を筆頭にお抹茶体験、その後は石川県立図書館へも。
結婚して21年、娘がジョインしてからもうすぐ13年。家族になるまでは一人旅の気楽さが好きだったけれど、家族旅行で互いの興味に歩み寄ることで、知らなかった世界を知る楽しみも増えてきたのは、びっくりだけれど事実。美術館に関してはミュージアムショップにいくのが楽しみになったし、お抹茶など全く興味がなかったけれど、5ヶ月経験している茶華道部の娘の所作の違いに感動し、茶道も華道も障子も襖も掛け軸も、日本人は粋だなあと、これもいいものだなあなんて思うとは。旅先の図書館も、地元の人の日常にお邪魔する感が想像以上にたのしかった。行政の力の入れ具合、税金の使いかた、どんな人が企画してどんな人を呼んでつくり、このセンスが実現したのか。調べはしないが興味ぶかく、とてもいい経験になった。センスのいいお金の使いかた、注ぎかた、大事。
我が家はワンルームなので、娘は勉強に集中したいとき、気分転換をしたいとき、度々図書館にいく。そんな娘に見せてあげたらどうかと夫がプランに組み込んでいた石川県立図書館は娘にドストライクだったようで、今回の旅でいちばん長い時間滞在したのではないか。ずっといたい、この近くに住みたいと言っていたほど。ふと、「あと数年もすれば、ほんとうにそんな選択肢もあるだろうな」と頭が未来を理解した。その流れで、翌日には富山の図書館もいくことになった。旅は流動的で、だからおもしろい。
移動した先の富山県は、まず富山美術館が素晴らしかった。ロケーションも、企画展も、所蔵作品も、建物のセンスも、庭も、ミュージアムショップもよかった。そのすぐそばの世界一美しいと称されているスターバックスへも足を運ぶ。路面電車に乗ったり、富山城におじゃましたり。富山は土地が雄大で、力強い生命力を感じた。穏やかで、たくましく、なのにそこはかとなくやさしい感じ。椎名林檎の『ありあまる富』というだいすきな曲があるのだが、あの歌が頭の中でなんども流れた。歌詞もメロディーも、あまりにもピッタリで。
富山の旅の最大の目的は、『Hutte』というお店にいくことだった。数年前からおもっていたので、念願叶ってやっと。ドイツ語で山小屋を意味するヒュッテに、偶然にも山の日にいけた奇跡。じぶんが無意識に、ご褒美のようにとっていたのかもしれない。オーナーの浅野さんとも数年ぶりにお会いする。夫と娘はわたしの都合に合わせてくれたけれど、店内のお洋服や雑貨などもいろいろみていて、お店の看板犬のビンゴとも戯(たわむ)れていて、楽しそうに待っていてくれたことが何よりありがたかった。富山、とても良くて思いの外時間がおしてしまった。最後はフライトの時間がやばいとなって、浅野さんに図書館まで送迎してもらったりと、ドタバタの締めくくり。家族皆が北陸の魅力を感じ、だいすきになった。次は冬にカニを食べにこようと、次の約束をして北陸とバイバイ。