閉店のお知らせがあってからの営業がスタート。金曜日も土曜日も、いつも通りの常連さんをはじめ、閉店を知って来たという人たちも含めて、いつもより客数多め。「閉店しちゃうんですね」という人が多い中、印象的だったのは常連さんのマダム。兵庫県の方で、オシャレで会話のテンポもよく、たのしい方。親子できてくれることも多い。昨日も親子で来てくれた。閉店の張り紙に気づいていないのかな、とおもい「実は閉店することになって…」というと、うんうんとうなづいて余計なことなにも言わず、「また来週も来るからね、挨拶はなしね!」といった。なんて粋な人なんだろうと一瞬泣きそうになってしまった。お店をしておられるご様子なので、「わたしもお店にいきますね」というと、さっとショップカードをわたしてくれた。商売人の鏡、見習おう。もうひとり、なんともチャーミングなおしゃればあばがいる。ほとんど毎日来てくれる。ピアスとお洋服のカラーコーディネートが絶妙でかわいい。いつも、着丈だけでなく、肩のラインや袖の長さもベストなジャストサイズをお召しなので「お仕立てなんですか?」と聞いたら、「ちがうのよ」と。それが最初の会話だった。昨日も来てくれて、明らかに張り紙に気づいていないご様子だったので、「実は…」と伝えると「そうなのね」と一瞬残念そうな顔を見せたけれど、「たいへんだよね!」っと明るく切り返してくれた。やっぱり「まだ来るからね」と言ってくれた。なんでだったか忘れたけれど、昨日は髪型の話になった。好きだった美容師さんがいなくなってしまってから、もう2年くらいご自分でカットをしているとのこと。わたしも自分で髪を切るのが好きなんです、と盛り上がる。叔母が美容師なんですよと伝えると「お近くなの!?」と聞かれたので間髪入れずに「アメリカなんですよ!」と笑う。いつもお仕事の合間に来てくださる自営業の方で、こんなおしゃればあばになりたいなあと密かにあこがれている。身長は小柄だけれど、目が合うと太陽を見上げたような気持ちになる。
『we inc. Architect Studio』の森さんも来てくれた。入間で友達になった同級生の森さん。『Sunny Side』の感想をくれて、「文章が上じょうずですね」と言ってくれたので「ありがとうございます」と素直に答える。褒められたら謙遜しない。今読み返すと、「あー、ここもここもダメだあー」と思うけれど、あれがあの時のベストだった。次に本を出すときは、もっと丁寧に、より詳細に言葉を尽くしたい。『LAND』のまっちゃんもDMで「もう一回行けばよかったー!」と連絡をくれた。森さんもまっちゃんも、まだ一度しかあってないのにね。ここで出会って友達になれたのだから、もう十分だよと返事をする。
場所があるって本当にすごいと再確認する日々。もう忘れかけていたけれど、由比ヶ浜のBORN FREE WORKも、こんな日々だった。「さようなら」というのが苦手ではないが、いつもつい、「またね」と言ってしまう。「こんにちは」の代わりに「ヤッホー」とも言ってしまう。以前種子島に一人旅をしたとき、仲良くなった島の友人がこんなことを言っていた。島の人は、島を出る仲間を見送るとき「さよなら」とは言わず、「またね」と言うのだと。素敵だなとおもった気持ちが、記憶のどこかにとどまっているのかもしれないし、お別れが苦手なのかもしれない。寂しさを隠しているのではなくて、いつでも、その先の続きを見つめていたい。終わりは始まりなので、きっともう、始まっているのだ。ただ、まだそれが見えていないだけで。