昨日、お店番をしていたら三輪舎の中岡祐介(なかおか・ゆうすけ)さんがきてくれた。本屋・生活綴方の鈴木店長も一緒に。
ギャラリーの運営をしていたとき、『本を贈る展』という企画展をした。そのとき、中岡さんとはじめてあったのが2018年の12月26日。それまで本に興味のなかったわたしが、展示をきっかけに、じぶんでも本をつくってみたいとおもったり、その編集を担ってもらったり、インタビュー形式のお話し会のきっかけをくれたり。中岡さんは、わたし自身にたくさんの発見と気づきをくれたひとり。
中岡さんが最初に由比ヶ浜のギャラリーに来てくれた日のこと。夜にもらったメールには、たのしかったというような文面の最後に「こんな日がずっと続けばいいのに、とおもうくらいに」と書いてあった。ひとり出版社を立ち上げて、いろいろきついこともおおいんだろうなあという印象を残すような、どこか言葉に余韻のある人だった。中岡さんと最初にあった日が12月26日なので、わたしはその日を『中岡記念日』と呼んでいる。なるべく中岡さんに会いにいく、師走で忙しいときはいけなかったりするけれど。今年はレンバイがあるから無理だなーと諦めていたら、昨日は中岡さんのほうからやってきてくれた。大きな背丈を小さくかがめて、ガラス窓ごしに、いないいないばーみたいな登場で。びっくり!
『本を贈る展』をきっかけに、近年は中岡さんが立ち上げにたずさわった妙蓮寺の『本屋・生活綴方』でタイパンツ展を開催してもらったり、綴方出版部からはリソグラフでインタビュー本を出させてもらったりと、何度も仕事をご一緒させてもらっている。わたしより年下だけどどこか安心感がある中岡さんのことを、親しみを込めて「おとうさん」と呼ぶこともたびたび。背が大きいからどっしり構えて、一見、安定した自信があるように見える。けれど、中岡さんはいつも何かの困難に目をそらさず立ち向かって、考えたり悩んだりしている気がする。そういう時の中岡さんは、たいていあごを引いた上目遣いをしていて、なんだかこどもみたい。ちいさな子猫のような瞳で「ことりさ〜ん、ボクね…」とか言っている。おおきなこねこ、中岡祐介。わたしたち、いつもたいてい久しぶり。けれど、なんでもざっくばらんに話せるのは、これまで築いてきた関係性の賜物(たまもの)で、昨日もそんな感じ。笑えることはもちろん、たとえちょっと笑えない話でも、最後は「エイヤー!」と投げ飛ばして笑う。出会って6年、結構ながい付き合いになってきたものだ。これからも、きっと。俵万智(たわら・まち)のサラダ記念日ではないけれど、「こんな日がずっと続けばいいのに、とおもうくらいに」と君が言ったから、12月26日は中岡記念日。