自宅で仕事をしていると人に会うことが少ないのだが、今週は作業の合間に人に会うことが続いた。料理人、ラジオのDJ、タイパンツ作家、皆、生業(なりわい)が違う人同士の会話。料理人と話していたときのこと。蕎麦やお味噌汁のはなしになり、出汁パックをつかうよと言ったら、彼らはそれを使ったことがない様子だった。「お味噌汁なら煮干しがいいよ、前日にお水につけるだけだから」と言われたが、明日の料理を前日に考えて、さらに事前に出汁をとる準備をするなんて、とっても難儀である。お蕎麦が好きだと話したら、「分厚い鰹節で出汁をとると色が濃く出て、そこに醤油とみりんだけだよ」という。料理人、それは出汁職人でもあると知った先日。とはいえ、素直なわたしは昨日スーパーで煮干しなるものを購入。ところが青い煮干し、白い煮干しのようなもの、二種類あってまず悩む。なんとなく青がかわいいかしらんと手にした。昨日水に浸すはずが、買ったままもう忘れていたことに気づいた今朝。出汁をとったあとのお魚たちはどうすればいいのかも聞き忘れてしまったが、とりあえず、先ほどお水にお魚たちを解き放してみた。明日、解き放った彼らのことを、うっかり忘れませんように。
昨日はラジオDJを何十年と続けているおともだちと会った。修理を頼まれており、納品をしたら目の前でものすごく喜んでくれた。ミシンをつかった縫製の仕事ではなく、ペンチなどを使用して直すタイプの修理。布と金具のコンビネーションなので、扱いに注意点はあれど、そんな仕事もこれまでたくさんしてきた。そこまで難しいことではなかったが、よろこんでくれる姿を見るのはとてもうれしい。純粋に、明日の糧になる。彼女と話していたとき、仕事の事前準備を聞いて「そんなことまでするんだ!」と驚いた。本人は当たり前にやっていることのようだったが、しばらくしつこく聞き返すほど、掘り下げて質問するほど、びっくりなことだった。仕事とはつまりそういうことなんだなと、つくづく感じた今週。人が聞いたら「えー、めんどくさい!だって大変じゃん!」とおもうことを、当たり前にやる。それを毎回やる。そういうことなのだ。苦にならない、好きだから努力とはおもわない、みたいなものがベースにあって、そこを積み重ねて、力をつけていく。その人らしさになってゆく。そこがプロと素人の違いで、人の心を動かすがどうかの違い。手を抜くことができないのは、それが当たり前の事前準備で、仕上がりにつながっていくと、知っているから。それぞれのプロたちと会話を交わして、じぶんも手を抜かずに日々の仕事を積み重ねていこうと、あらためておもった今週の出来事。