ティーンの女子が家にいると、ただそこにいるだけなのにキラキラと光を放っている。夜ですらまぶしいほどに。
保育園の年長さんくらいからずっと、長い髪をかきあげるようにしていた娘だったが、最近の流行りに乗って、ついに前髪を作ってから一ヶ月ほどが経った。当日は一緒に馴染みの美容室に行ったのだが、「前髪だけで人はそんなにぶち上がるのか?」というくらいに喜んでおり、その日を境に、毎朝鏡の前で熱心に前髪をいじくりまわしている。学校でもかわいいとたくさん言われたと、ご機嫌であった。そんな娘を眺めているうちに、「かわいい、うらやましい、わたしも切りたい・・・」そんな気持ちが芽生えてしまった48歳(もうすぐ49歳になります)のママ。で、先日。おなじ美容室にいき、ことの経緯を話して前髪を作った。前髪を切るなんて中学生以来ではないか。しかしです。誰もこの変化に気づかないのか。どなたからも「かわいい、前髪切った?」などと言われないまま一週間が過ぎた。涙 でも1歳くらい若返ったような気がするし、新鮮なのでよしとする。
娘の影響力は前髪だけではない。娘が教えてくれた<ヤングスキニー>というアーティストにもハマっていて、さかのぼってたくさんの楽曲を聴いている。めちゃくちゃいい曲がたくさんあるが、中でも『雪月花』というナンバーは、歌詞も声色も吐息もせつなくて、とにかくすごくいい。「せつげつか」と読む難しいタイトル。この言葉の意味は、雪・月・花の順で、四季折々の美しい自然の景観(特に冬の雪、秋の月、春の花)を愛でる風雅(ふうが)な心を表す言葉、らしい。むつかしい日本語を知っている、ロマンティックなヤングなんですね。おばさんはその才能にうっとりしている。昨日、大雨が降る中娘の塾の送迎中に車の中で聴いていたのだが、サビの歌詞で、

あなたの匂いをわたし全部覚えているよ

というフレーズがあって熱唱していると、「えー、きもー」と娘が言った。歌詞はこの後、キャメルのタバコの空箱のくだりが出てくるのだけど、最近の子はタバコも吸わないし、そもそも娘はまだ若いし、彼が吸っていたタバコの匂いとか、別れた彼を思い出す情緒とか、そういう情景すらもピンとこないのね、若いって経験がすくないから想像力が乏しいのね、ああ、心の底から可哀想だわと思いながらも、無視して歌い続けた。しかし、その後の

不器用な私だから
あなたの愛に気づけなかっただけかな?

という歌詞になると「あ、この曲かー!」と言って、突然助手席で踊り出した。TikTokでそのフレーズだけがバズっているのだそう。今の子の音楽の楽しみ方って独特だけど、それはそれで自由でいいものだ。だって楽しそう。音と踊りがワンセットになっている。<ヤングスキニー>でいうと、もう一曲特筆したい曲がある。Apple Musicを車で流しながら聞くので、普段はあまりタイトルを見ないのだが、冒頭の歌詞で

あの時はごめんね、振り回してしまって
悪気は少しもなかったの
多分だけど、多分だけど
あの時はごめんね、傷つけた分だけ指を折って
もう足りない、もう足りない
両手じゃ収まらないな

と歌い出す曲がある。イントロがなく、頭から歌ではじまる楽曲なのだが、夫に対しての日頃の自分(出会ってからずっとかもしれない)を代弁しているみたいで、「いい曲だわ〜」と聴いていた。フルで歌えるくらいに完コピしたので、バンドやるならカバーしたいとおもった。で、昨日ふと、タイトルはなんだろうと思って調べてみた。『ゴミ人間、俺』という曲名だった。窓の外は今日も雨。