辻堂と鵠沼のあいだくらいにある、<からみ餅雅(みやび)>を友人に教えてもらって以来、定期的に足を運んでいる。無類の餅好きのわたしなのだが、同じ熱量で餅を食べることを楽しんでくれるお姉様がいて、昨日も一緒に。餅を五個食べ、ロイホに移動してフライドポテトとパフェを食べながら、ずっとダイエットと筋トレのはなし。途中もくだらないはなし。お腹を抱えて笑った。
お姉様はDJとして長くラジオ業界で働いていて、良い意味でかなりの音楽オタク。ここ最近のわたしのShazam(音楽検索アプリ)をみてもらったり、娘がシェアしてくれたプレイリストをみせたり。昨日はAOR(アダルトオリエンテッドロックの略だそう)とはどんな音楽かを質問する。その話から、アメリカだとYACHT ROCKともいって・・・、みたいな話題になり「ヨットロック!? え、ヨット?」と思わず食いついてしまった。それがどんな感じの音楽かもいろいろ教えてくれて、そのうちにロイホでSpotifyを流して耳にあててみたりして。Spotifyのプレイリストを見ると、好きな曲がけっこうはいっていて「ヨットロック好きかも!」なんて騒ぐ。
「わたし、音楽が好きなんだなって最近きづいたんだよね」と言ったのはわたし。6人家族で育って、父はジャズ、姉はR&B、下の姉はジャズ・R&B・ロック・ポップス・レゲエとかなりいろいろな音楽を聞いていて、姉が高校生の頃にはすでにジャズ喫茶にもいっていた記憶がある。ディスクユニオンの袋やケース、タワーレコードのきいろい袋、父や姉がよくぶら下げていたあれらは、音楽好きな人が持つものなんだなと眺めていた。一方で母、兄、わたしは音楽よりも海が好きで日焼けしていて。兄とは波乗りを一緒にしたり、母とはフェリーに乗って島にいったり。そこに、父や姉たちが興味をしめすことはほとんどなかった。
そんな感じの家族で、皆、はっきりと趣味趣向が分かれていた。だからこそ、<音楽好き>というのは、CDやレコードをたくさん買い集めたり音楽にたくさんのお金を注ぐような、ああいう人たちをいうんだなあと勝手に決めつけていた、ずいぶんと長いあいだ。でもいつの頃からだろう、自然と音楽が好きになってきたのは。そのうち、音楽オタクのお姉様のラジオ番組を聞いているとしらなかった曲がたくさん流れ、イントロの数秒で「ん!?」となると「この曲はなんだ!」と、追っかけてアーティスト名とタイトルを調べるようになった。今となっては、爆音で音楽を流しながら作業しないと仕事がはかどらない。昨日は、もともと好きな『ヨット』という言葉が出てきて、そんなカテゴリーがあったのかと、驚きと喜びでわたしの中にある、ライトが点灯した。知らなかった世界の扉が開く瞬間は、いつもカチっと音が鳴るようにスイッチがはいる。その音が鳴ると、わたしの心はわかりやすく踊りはじめる。