2021年の春まで、由比ヶ浜の『BORN FREE WORKS』というギャラリーを運営していた。その最後の企画展でお世話になったのが、静岡県は沼津にある『Senbon Flowers MIDORIYA(センボンフラワーズ・ミドリヤ)』の岩﨑有加(いわさき・ゆか)さん。黄色のチューリップをバケツに大量に入れて、江ノ電で由比ヶ浜までハンドキャリーしてくださった。「バケツとバッグを返さないと」と思いながらまさかの2年以上が経過してしまい、昨日の午後にやっと、本当にやっと持っていけた。沼津はクラフトビールも熱い土地なので、ビール仲間のSくんも参戦。岩﨑さん、話しながらもずっと花に触れながら手を動かしていた。次回はゆっくり呑みましょうと約束して、店を出る。
Sくんとは『沼津クラフトテイスティングルーム』でビールを4種類、『チュチュルリエ』で白ワインのデキャンタ、『リパブリュー』ではまたクラフトビールを2種と、飲みまくって帰宅。お互い時間にルーズなタイプなので、待ち合わせも帰宅時間も予定通りにいかず、「もっとちゃんとしてよ〜」とか言いながら帰宅。Sくんが「僕らは」と口にする度に「一緒にしないで」と間髪入れずにカットインして、ゲラゲラ笑う。Sくんは「僕ら」が口癖なのか、聞いているとよく使う。「奇跡みたいな話なんですけど」という言葉も何度か過去に聞いている。そういう空気をきっとすごく大切にしていて、そんな時間があって、彼の感性や表現がうまれているのかもしれない。
昨日思ったことは、その場にいない人の話をするときの愛のようなものについて。お互いに共通の友人や知人が多いので、「○○さんが……」と何人かが話題に出た。そのたびに、どうしてこの話題になったのかな、と思いながら聞いたり、わたし自身も話したりしていた。Sくんがある人の話しているとき、その人のことが大切で、大好きなんだね、という気持ちが胸から溢れるほど伝わってきて、ちょっと泣きそうになる。会ったことのない人だけど、「今度三人で呑もうね、ことりさんが飛んでいくから」と言う。会ってみたいな、と思った。昨日、わたしにもそんな瞬間があった。酔っていたのではなく、話しながら「○○さんのことが、わたしは大好きだなんだな」という涙が出そうな瞬間が。
「ことりさんはよく、文化系と体育会系って言葉をつかいますよね」という話題にもなって「そうね、確かに」と思った。そこには憧れがあるからじゃない? というわたしなりの答え。わたしの両親はまさにそんな男女が結婚したパターンなので、お互いの趣味とか全くかぶっていなかった。子供ながらに、それはすごくふしぎなことだった。恋愛結婚をした二人なので、「一体どこにひかれたの?」と今でも心底思うが、ないものねだりなのかもしれない。いずれにしても「憧れ」という言葉がたくさん出た昨日。「憧れ」という言葉の持つ響きはなんともいいものだな、と思った。わたしは今、憧れている暮らしがある。「憧れ」だけで終われない性格なので、着実に、確実にコマをすすめている。「憧れ」にたいして、ずっとロマンティックを抱くことができる人生はとっても素敵。だけれど自分は根が図々しいし、アクティブなので、つい、憧れに近づきたくなる。触れずにはいられない。そうしてやりきって、「もう十分味わったな」ってことも過去にたくさんある。そんな人生だし、そんな性格なのだろう。これから先も、きっと。