46歳のわたしは、結婚してもうすぐ20年になる。結婚してすぐは、「家事は妻がやらないといけない」と信じ込んでいた。実家がそうだったことも大きいが、苦手な家事を無駄に頑張ったりして、ものすごく疲れていた。家事が大好きな夫は、家事が苦手な妻が無駄に手を出すことに、きっと強いストレスを感じていただろう。そういうことをお互いがあまり口にしなかった。遠慮と優しさの上に成り立つ新婚生活は、ちいさな疲れとストレスを日々積み重ねていた気がする。
46歳のわたしは、最近やっと生きるのが楽になってきた。若いころは、いつでも「元気そうだね」と言われることが嫌で嫌で仕方なかった。自分のことを元気だと思ったことは一度もない。今もそう。普通だと思っている。元気じゃない時に元気そうだと言われることががあんまりにも嫌で、以前夫に相談したときに「元気じゃない人は、そういうキレイなイエローのワンピースとか着ないんだよ」と言われて愕然とした。元気がないとき、いつもカラーに元気をもらう。そういう選択をする自分を勝手に元気だと決めつめないでほしい、若い頃の自分はそう思っていた。歳を重ねてきた近頃は、疲れがきちんと顔に出るようになったおかげで、「元気ないね」とか言われるようになった。ここまで頑張って生き抜いたオレ様のことを、オレ様は心から褒めてあげたい。若い人を想うが、生きているだけで可愛いし、そこにいるだけでこちらは幸せになる。彼らは細胞がスパークしているので、悩んでいる姿さえも美しさを放っている。色々な期待もされるし、比較もされるし、生き急ぐことが多いだろう。雑誌やYouTube、SNSはキレイや格好いいをあおるし、盛らせる。けれど、疲れたら「疲れている」ことをどんどん表現してほしい。わたしは当時、その手段がブログを書くこと(言葉をつづること)くらいしかなかった。正確には、わからなかった。あとは、母にときどき話を聞いてもらうことで、痛めた羽を休めていた。今、じぶんがこの世に必要だと思っている媒体(ばいたい)は紙でつくる雑誌一択で、「疲れ顔メイク特集」とか「おばさん顔になるためのメイク術」とかを張り切ってやりたい。白髪を隠すテクニックではなく、あえて白髪を作るスティックとか、ほうれい線の入れ方、肌をくすませる方法は?頬をたるませたい! 目の下のクマってなあに? とかね。どうしたって元気に見えてしまうティーンや20代が、自分の疲れや心の声をスピークアウトできるような場所、その方法が今の世の中には少なすぎる。キラキラはもう十分だし、若見えとか美魔女とか、もういい。素敵な暮らし、丁寧、シンプル、ナチュラル、やり切ったのではないか。オレ様はお腹がいっぱい。人のこととか、どうでもいい。いこうよ、次の時代へ。そんなことを思っている。46歳のわたしは。