週末は母の住む吉祥寺へ。夏休みもいよいよラストウィークで、海に行きたがるかな?と思ったが、東京も捨てがたい様子の10歳。おばあちゃんが都会に住んでいるという逆転現象の我が家だけれど、これはこれで、結構楽しいものである。年老いてきた母は母なりに、出来ることと出来ないことの間(あいだ)を、覚えていることと忘れていくことの間(はざま)を、母の歩幅でゆっくりと歩いている。4人の子供を育てた母は、注いできた無償の愛がきちんと回収されていくかのように、子供や孫たちに支えられながら生きている。『人にしたこと、言ったことは自分に返ってくる』、というような言葉を聞いたことがあるが、ここ数年の母を見ているとそれはほぼ間違いないと感じる。
母が武蔵野市の体操教室にいっている時間、家にいるのも退屈なので娘と原宿へ。竹下通りの『DAISO』は3フロアの一棟丸ごと『DAISO』で、娘はお化粧品コーナーなど熱心に見ていた。右を見たり、左を見たり、プリクラ撮りたいといったり、ずっと興奮気味だったが、突然「ママ。色々ありすぎて、首を左右に動かしすぎたから首が疲れた。もういい」と言うのでおしまい。ママはすかさず、買いたいと思っていた『Allbirds』で靴をまとめて二足、『IKEA』にも少し立ち寄って原宿を後にする。原宿から新宿まで二駅山手線に乗って、ランチ。「食べたいものなんでもいいよ」というも、「足が疲れたから近いところで、麺じゃないのがいい」という。日頃から「昭和レトロって、おもしろーい」とか「ママって昭和レトロでかわいー」とか、棘(とげ)のあるようなないようなことを言うバブちゃんなので『らんぶる』に連れていってあげたかったのだが、少し歩くからねえ。『BERG』と『銀座ライオン』はバブちゃんもお気に入りなのだが、昨日は『BERG』がいいと言うので、仰せ(おおせ)のままに。いつもはホットドッグとジュースをオーダーするバブちゃん、昨日は「クワトロチーズドッグ」とペプシをオーダーしていた。シュワシュワしたかったらしい。ママもです!「ベルグ美味しいー。元気出てきた!」とバブちゃん。ママもです! 店内で素敵な曲がかかっていたので、すかさずShazam(曲名を検索してくれるアプリ)する。ジミー・クリフの『Many Rivers to Cross』だった。少し切なくて、ロマンティックな感じのメロディ。覚えておこう。
新宿から吉祥寺までは中央線や総武線で移動する。何駅か乗るので、「遠いね」と言うと「近いよ」と娘。高田馬場に住んでいた頃、吉祥寺には足を運んだことがなかった。遠いイメージがあったし、性格もあるが、乗換えが億劫だったから、買い物は基本、新宿。たまに池袋。どちらも二駅で移動できたから。そういう生活を26年間してきたので、今でもバスをまったり、乗り換えたり、正直すごく苦手で、駅員さんに聞きまくってしまう。スマホで調べるのも面倒くさい。おのぼりさんでいい。
吉祥寺に戻って、娘が本を買いたいというので巨大なジュンク堂へ。『四つ子ぐらし』という児童書にはまっているのだ。シリーズもので、現在15巻まで出ているのかな? 胸を打つ、いいお話らしい。夕方、母が戻ってくるのを待って皆でしばらくゆっくりしてから、母を次の目的地に送迎して、夜に湘南へ戻ってきた。母と娘と三人で過ごすのは、正直体力を使うし、時間の制約とかも色々あるけれど、それをひっくるめて、なんだかすごく尊い。そして愛おしい、目に映る全てのものが。なんでも褒める母、それが嬉しくてたまらないばぶちゃん。そうやって育ててもらったわたしは、娘の気持ちがよくわかる。褒めてもらうって、とにかく嬉しいんだよね。人目を引くほど美人だった母は、今は背中もそれっぽくまあるくなって、いわゆるかわいいおばあちゃんになった。母にはありがとうの気持ちでいっぱい。生きていてくれて。歳老いてくれて。明るくいてくれて。変わりながら、変わらずにいてくれて。