12歳の娘は、物心ついた頃から窓の外は一面の海という環境で育った。そんな娘であっても、朝起きて窓の外の海を見ては「今朝もキレイだなあ」なんて言う。14年住んでいる夫とわたしもそう。見飽きることがないのは、相手がいつも違う表情を見せてくれるから。
今朝のこと。「波がなくなってるんだけど!」わたしがいうと「海は気分屋なんだよ」と、二段ベッドで寝転んだままの娘が言った。『海は気分屋』、文章のタイトルにいいフレーズだなとおもったわたしは、そんなわけで、今こうして書いているわけである。「海は人の心と同じで、荒れているときは怒っているときで、穏やかなときは優しいとき、波があって天気もいいときは、気分が良くて楽しい感じのとき」だという。だとすれば、今日は随分と優しいではないか。優しさがすぎる。
娘はなぜなのか、とても落ち着いた性格をしている。中学校の入学が目前になってくると、大人たちは挨拶のように「部活決めた?」とこどもに聞いてくる。この春にしったこと。娘は「バトミントン部か、吹奏楽部です」と挨拶を交わすように答えていた。入学してほどなく、体験入部ウィークというのがある。それらを一通り終えたあと、娘は「部活決めたよ、茶華道部にした!」とうれしそうに報告してくれた。茶華道部の体験入部が、娘の琴線に触れたらしい。一度決めると迷わないタイプなので、廃部寸前の小人数の茶華道部に入部。人がいなさすぎて、いきなり副部長。それも立候補したというのだから、ますます揺るがぬ決意を感じる。クラスメイトからも「ガチで?」と何度も言われたらしい。そう、うちの子はいつでもガチなんです。
道端などでママたちに会うと、「何部にした?」と聞かれるのも常。茶華道部だと答えると、大抵は「えーーーー! あ、そうなんだ。でも、本人がやりたいならいいよね!」みたいなリアクションがほとんど。ですよね。ちょっと意表をついたでしょう。
ちいさな小学校からおおきな中学校にいき、人数が増えることでうすまる楽さを知ったそうだが、やはりエネルギーは使うそう。入部の動機は「心を穏やかにする時間がほしい」とのことだった。和菓子をいただきお抹茶をたて、野球部が練習している声を聞いては「青春してるなあ」と思うのだそう。おばあちゃんなのかな?
先日茶華道部を見学をさせてもらったが、数名の男女が畳に正座をして、茶筅(ちゃせん)で抹茶をたてていた。和菓子をいただいたとき、とてもおいしかったのだろう、娘は私をチラ見して静かにサムズアップした。そういうところは現代っ子なのかわたしの遺伝子なのか、いずれにしてもミスマッチで思わず吹き出してしまった。茶華道部もいちおう夏の部活動があり、先日は障子の張り替えを、次回は和菓子をつくるそうだ。たのしんでいる姿をみて、こっちもうれしい。
今日はそんな娘の部活の送迎、市役所、溜まっているミシンの仕事、潮回りを見て波乗りと、テトリスのように組み合わせてうごく。娘もわたしもそれぞれのライフスタイルが確立されてきた。わたしたち、趣味も興味も全然ちがう。なんか、それがけっこういい感じ。