昨日は、予定では11時頃に来客の予定だった。茅ヶ崎で『LOGGER』という屋号で、材木を扱う仕事をしている末綱(すえつな)さんがやってくる日。だったのだが、9時過ぎにLI NE。見ると、まさかのもう近くにいるという。「早すぎですよね!?ちょっと時間潰して向かいましょうか」と続く。こちらはさっきコインランドリーから戻ったばかり。パジャマで、ノーメイクで、部屋もごちゃっとした感じ。一瞬「もう呼んじゃって、掃除でも手伝ってもらおうかな」と頭によぎったが、一応お客様。「ちょっとどこかでまっててー」と返事する。マッハで掃除と着替えとメイク。
末綱さんが1分でも早く会いたい人はわたしではなく、末綱さんが1分でも早く会いたい人は、『Birds creation』という屋号でサーフボードのリペアや製作をおこなう児玉ジョージくん。昨日はそのアテンドだったのだ。1時間早めて、10時に我が家へ。うちで比較的のんびりとコーヒーを飲んでから、末綱さんの運転でジョージくんの工房へ。
末綱さんは、とあるお店で中古のサーフボードを眺めていて、そのフォルムがきれいだなあと行くたびにしつこく眺めていて、結局、その板を買ったらしい。手にしてわかったことだが、その板はなんとジョージくんの削った板だったそう。そんな経緯があって、一度本人に会いたかったみたいだ。昨日もそのボードで早朝から波乗りをしていたらしく、車に積んであった。
はじめましての挨拶もそこそに、ことの経緯を話す。自分がシェイプした板に再会したジョージくんはめっちゃ嬉しそうだった。抱きしめるようにかかえたり、撫でたりしていた。その板にあうフィンをつくりたいという末綱さん、「うんうん!」と、嬉しそうなジョージくん。ふたりのやり取りを見つめる。ものは違えど全員手を動かす作家なので、互いのモノづくりの共通点、思想について、熱く語ったりする。みんな、同じなんだね。だから仲良しなんだよね、と確認する感じ。
ジョージくん、少し大人になっていた。仕事に関する話をしていたとき、まっすぐさに磨きがかかっていた。とてもまともなことを言っていたし、てらいのない語り口調に、揺るがない自信のようなものも感じた。経験を重ねた人の重み。素敵だった。進級したのかしら? と思ったが、左右の靴下の色がバラバラだったので、今年も進級はなし。残念!やっぱり小2。
末綱さんは、3人の中だと少しだけお兄さんで(実年齢も)ジョージくんと並ぶと雰囲気は高学年だった。常識的だし、言葉遣いも綺麗でやさしいし、困ったときに間違いなく頼れるタイプ。とってもいいひとだけど、気持ちが先行して待ち合わせよりもだいぶ早く来ちゃうところや、早起きすぎる節があるので小5かな、とか品定めをするわたしもやっぱり小3で。
ジョージくんの工房を後にして、末綱さんと一緒にお昼をいただき、帰り道の車の中。友人の子供のお墓が近くにあるのだと話をすると、「一緒に行ってもいい?」というので、「もちろんだよ」と、お墓参りをすることに。末綱さん、お墓参りをちゃんとするタイプの手際の良さで、お花の花瓶みたいなやつとかもピカピカに磨き上げていて、業者さんみたいだった。流れるような所作の美しさに、線香を持ったまま、ぼーっと眺めてしまった。「火はつけた?」と言われて、「まだだよ」とわたし。結局、末綱さんが全部やってくれた。小さな魂が眠るお墓の前で、末綱さんはかがんで静かに、しばらく手を合わせていた。わたしも真似してかがむ。ジリジリとあつい太陽、蒼い空、白い雲、植物の緑、目に見えないけれど存在をしっかりと感じる風、その全てがキレイだった。
末綱さんとのドライブはずっと愉快で、これでもかとお互いに冗談を言い合う。内容がくだらなさすぎて、涙を流しながら助手席に座っていた。二人でいたら仕事とか全く進まないタイプで、もしも若い頃に出会って、恋愛して、結婚とかしていたら、全てのことが家庭はめちゃくちゃで、不成立だっただろう。空中分解。ジョージくんとも、自分はそういう組み合わせな気がする。ノリの合う仲間、みたいな感じ。わたしは、自分にないものを持っている人が好き。真面目で、綺麗好きで、シャイで、あんまり喋らない人が好き。静かな人になりたい。けれど、起きた瞬間からしゃべってしまうこのわたくし。昨日の3人はとにかくおしゃべり好き。そのほとんどが無駄話みたいな感じ。楽しくてくだらなくて、最高。男子はバカでもなんでもいいけど、とにかく優しいことが一番大事。