昨日から台風の影響で波がよい。開け放った窓からは、打ち寄せる波の音が途切れない。今日はもうサイズが大きすぎるので、わたしは見る専(せん)。無理をしないので上達は遅いが、おかげで無傷でここまでこれた。波乗りに出会って三十二年。熱心だったときもあるけれど、出産してからは冬ははいらないし、大きな日もはいらないし、ブーツもグローブも人にあげちゃった。でも海はずっとすき。
昨日の朝、家事をしていたら電話がなる。<Birds creation>のジョージくんと、ひさしぶりに電話ではなす。地道にコツコツやっていると、みてくれている人はいるんだなあとおもうような内容で、こっちまで朝からうれしい気持ちのお裾分け。知り合って十五年くらいの結構な年月が経つけれど、ずっと変わらない部分と、着実にステップアップしている部分が共存している。変わらない、流されない、あきらめない。大人になると案外難しいことを、純粋に、疑わずに生きている。自由にのびのびと呼吸している感じ。金曜日から都内で展示があるそうで、いけたらいくよと伝えると、唐突に「みもちゃん、きをつけてね」というので、「なににきをつければいいの」と聞くと、「くるときとかさ」と言ってウケていた。「ジョージくんも運転きをつけて」とわたし。道中の安全確認をしあって、電話を切る。
午後から稲村ヶ崎の邸宅でBBQ。この夏アルバイトをした<海の家パパイヤ>で知り合えた方たち数名と、夏ぶりにあう。この歳にしてヤングサイドの立ち位置においていただき、先輩方のお話に耳を傾け、時に質問をして楽しい午後。夕方海入るかなーとおもって珍しくノンアルコールビールで挑んだけれど、ノンアルでも普通にたのしいという発見もあった。なんでもやってみるものである。中にはアメリカに住んでいた人もいて、当時のはなしとか、ここまでの様々な仕事の話とか、「へー、へー!」みたいな感じで素直におもしろかった。じぶん、結構転職の多い人生だとおもってきたけれど、まだまだ序の口であった。もっと攻めていいのだと、得体のしれない勇気がわいた。「あのころは良かった」ではなく、ずっと転がっていく人生みたいな愉快さがあって、感じのいい大人っていい。人生には正解もゴールも、なくてよいのかもしれない。さて、自分はどんな大人になってゆくのだろうなんて、海を眺めながらおもった昨日の午後のこと。