「この曲いいよねえ、サビ以外も好き」と娘が言ったのは、<キリン一番絞り・糖質ゼロ>のCMで使われている、アース・ウィンド・アンド・ファイヤーの代表的な曲「セプテンバー」が流れたときだった。夫は同じCMをみていて「糖質オフなんてロックじゃねえよなあ、アニキ!」と豊川悦司が言うのがツボらしく、いつもウケている。同じものを見ても感じ方が違うのが感性というもの。わたしはこの曲が流れると、ただ気分がいい。娘が言うように、イントロも「9月21日の夜のことを覚えてる?」と歌い出すところも、その全部が気持ち良い「セプテンバー」。
娘の感性は愉快。中学校の入学当初に部活紹介があったときも、部活の内容より、ユニフォームの配色について感想をくれた。中でも、ソフトボール部のブルーにホワイトのロゴがかわいかったと言っていたが、運動神経がそこそこで足腰が弱い(すぐに疲れたという)バブちゃんなので、入部はまったく考えなかった様子だった。わたしも、配色にはいつでも目がいく。この色かわいいなとか、この色とこの色の組み合わせはきれいだな、というふうに。それは海をバックに揺らぐ洗濯物を見ていてもおもう。出かける前にハンカチを選ぶときも、ハンカチを取り出したとき、この色だと配色がきれいだなと思って選ぶことがおおい。それは自分がきれいな色を見てたのしんでいたいからで、日常で触れている色、見つめている景色、そういうものが自分自身のタイパンツ作り、布選びに大きく影響している。
今日はケニアの布を扱っている。ビビッドな色彩に黒の縁取りなんてむずかしい組み合わせは、センスが良くないとできない。現地の人の肌の色を想像すると、確かに似合う。ケニアの大地、肌の色、空の青、なんて想いを馳せながらミシンを踏んでいる。70年代のアメリカの曲を聴きながら、ケニアの布をつかい、日本でオリジナルの服を仕立てる。そんな風変わりなことをたのしんでいるじぶんを、結構気にいっている。