明日から雨だというので、休日を前借りすることに決めた朝。波乗りは冬眠にはいったので、最近またすこしだけ、その日の気分で走ったり歩いたりしている。今日は海沿いを稲村ヶ崎まで。往復10キロほどなので、当然全部は走れず、スマホや心に景色をおさめたりしながら。
走るとき、歩くとき、仕事中、だいたいいつも音楽を流している。いろいろな音楽を聞くけれど、ネイティブアメリカンをルーツにもつアーティストの楽曲を聴くと胸がぎゅーっとしたり、ときに涙が流れるのはなぜなのか。ジェシ・エド・デイビスもそんなルーツを持つ、だいすきなアーティストのひとりだ。もの悲しくなるような歌詞も、すり切れそうなギターの音色も、かすれた声も、そのぜんぶが魂にひびく。
ランニングから帰宅していくつか用事を済ませても、外はまだ晴れ。こんな日に海沿いをドライブするのは最高なので、久しぶりに茅ヶ崎の<BRANDIN>まで車を走らせる。お店のウィンドウは、シーズンによっていつもディスプレイが異なる。今日はもちろんクリスマス仕様になっていた。置いてある雑貨のひとつひとつが、さすが歴史を感じる年季のはいったものばかりで、そのどれもがとてもチャーミングだった。夜だったらもっときれいなんだろうなと想像させるイルミネーションも、静かにスタンバイ。店内はとても混んでいた。コーヒー、ホットチョコレート3つ、ロイヤルミルクティー、バラバラなオーダーに対応をする店主のひろみさんは忙しそうだった。駅からも離れた住宅街にあるお店に人が集っている、冷静に考えるとちょっとおもしろい。海が見えるわけでもないし、バス停も近くないし、縦列駐車で停める店の前のパーキングは、先客で埋まっていることがおおい。そういう場所に。ひっそりした場所でどっしり仕事をしている人には、心から尊敬の念を抱く。晴れの日、雨の日、ひとりの日、どんな気持ちで空を眺め、そこに立っているのだろう。自分もまたがんばろうと、いつも素直に思わせてくれる輝きを放っている。みんな、誰にも似ていない。
わたしは大抵、ブレンドコーヒーをオーダーする。器も全部おなじに揃っていないから、今日はどんなカップなのかなあと待つのもたのしい。紙コップよりはボトルがいいし、ボトルよりはマグがいいに決まっていて、そのマグが揃っていないならなおのこと。というのがわたしの好みなのだ。コーヒーをのんで40分くらいで席を立ち、お会計を済ませる。聴きたいと思ったレコードは、また次回のお楽しみ。レコードを聴きにいくのはもちろん好きだけれど、もっというと茅ヶ崎にくるまでの海沿いの道が好きで、運転しながら大きな音で音楽を聴くのが好きだ。それを全部ひっくるめて、リフレッシュになる。足で走るのもいいけれど、車がもっと好きなのは、景色がどんどん流れていくのが気持ちいいから。スピードに乗っていると見落としているものはたくさんあるとおもうけれど、別にいい。風のように駆け抜けたい気持ちのほうが、いつもそれを追いこしていく。