信頼している中古車屋さんで、いつも車を買っている。聞いたことはないけれど、波乗りしているんだろうなーと言う風貌で、Tシャツではなく、いつもボーリングシャツのような襟付きの服を着ている。スニーカーがキレイで、髪型も、さりげいけれどこまめに美容室にいっているのだろう。流れるようなやや長髪をかきあげるスタイルで、こぎれいなイケオジさん。ラインの返事が光の速さで、シゴできイケオジさんでもある。会話がウィットに飛んでいて、なんか好きなタイプの人。
我が家の駐車場は、砂浜に停めているようなもの。湘南の中でもダントツで劣悪な環境のパーキングなので、もはや車を選ぶ余地はなし。「人生で一度はFIATのチンクエチェントにのりたいんです、カブリオレの」と車検の前にいつも一応聞くのだが、「遠い場所に駐車場借りたら教えてください」と言われる。責任もって売れない、絶対にすぐ故障するとも言われる。叩き潰される、儚き夢。
我が家は二度の車検は通らないほど錆びるらしいので、中古車を買ってだいたい4年弱でまわすスタイルがいいと言われて以来、素直にしたがっている。この夏もまたそのタイミングがやってきた。車検、あわよくばいけるか? とお互いに淡い期待を抱いていたが、状態を見てもらったところ、即、廃車確定であった。
次の車は、イケオジさんに提案された2台から選ぶ。「サビに強いのはこっちです、でもあの環境だとあんまり変わらないかもなあ」と言われたが、サビに強いと言う言葉に夫婦でなびく。そして、なんといっても2ドアだったのがいいなと思って決めた。最近娘が一緒に出かけることが少なくなった。そのことを嘆いてるのはもちろんおとーたん。夜泣きは率先して抱っこをし、泣けばミルク、やたらと時間のかかる沐浴、拭きすぎるほどのオムツ替え、お洋服も死ぬほど買い続け、てしおにかけて育ててきたおとーたんのかわいいバブちゃん。ここ最近はお膝にのってかわいく甘えてきては、お小遣いをもらったらさっさと出かけている。ウケる、わたしもあの手口であった。「一緒に出かけてくれなくなった」と、夫がドライブ中にたびたび嘆いてるのを助手席で聞いていたので、「今こそ2ドアじゃない? 後部座席狭いけど、ほとんど二人じゃん!」といって、さっさと決めてしまった。わたしは7.6ftくらいまでのボードが、車内に突き刺すかんじで入ることが条件だったので、それもバッチリ。今は台車の軽自動車に乗っていて、これはこれで結構たのしい。なんか足取りが軽い。軽トラとかも乗ってみたいんです。幌(ホロ)があるような。
今月中には次の車、こんにちは。2ドアの車は父が好んで乗っていたので、いちいち助手席を倒すめんどう臭い感じとか、その仕草が懐かしくてなんだか嫌じゃない。2ドア、実は結構見た目が好きみたいだ。じぶんが、父に似ていることを年々しっていく。遺伝はこわい。「ぱぱはわがままでごういんでじぶんのことばっかりでああいうおとなはいやでちゅ! だめでちゅ!」とバブちゃんだったわたしはクソ生意気におもっていたけれど、たぶん、すごく似ているのだろう。車内で爆音でジャズをかけたりしませんように。同乗者が車酔いするようなブレーキとアクセルの踏み方も、どうかしませんように。