やらねばならぬ書類、書こうと思っていた手紙、支払いのあれこれなどに追われて気付けば夕方。ウェットスーツが出来上がったと連絡が来ていたので、受け取りにいく。子安の里にある『m-stance』の長嶋さんにつくってもらった。最後にオーダーしたのは妊娠前なので、十数年ぶりに新調。寒がりだと話したら首の部分を長くしてくれたり、色々なカスタムをしてくれた。壊れたら修理もしてくれるみたい。もともともっているタッパーも、袖が長くて気になっていると話したら、袖を詰めてくれるみたいだ。いい人にあえてよかった。紹介してくれたのは同じ子安の里に工房を構える『Birds creation』のジョージくんで、帰りにチラッと顔を出す。夕方から夜に移り変わるような時間帯で、のぼりはじめた大きな月を眺めながら、車を走らせる。
工房にいくと、いつもどおり板を削っている姿がみえた。辺りは暗くなってきて、工房だけが浮かび上がるように明るく、そこにジョージくんがいて、大きな音楽が外まで流れていた。イヤフォンでもしているのかな、というくらいに近づいても全然気がついていない様子だったので、しばらくその様子を見ていた。映画のワンシーンみたいに美しい光景。日中は来客も多い様子だけれど、この時間こそが、一人でぐっと集中出来るのかもしれない。邪魔をしないで早めに帰ろう、とおもう。顔を出したのは夕暮れの終わり頃で、うっすらと見えていたお互いの顔が暗闇で見えなくなるくらいまで、何分くらいだったのだろう。外のベンチですこし話す。ジョージくんのやっているバンド活動の話になったとき、波乗りをバンドに例えるとね、って話がすごくわかりやすくてよかった。これからのこととか、自分のテーマとか、いつになく饒舌で「ジョージくんて陽が落ちてからのほうがはなしやすい人なんだね」とわたし。「そうだねえ。電話とかも来ないしね」と笑った顔が、なんだろう、こういう笑顔で気持ちを語る人なんだな、という感じだった。お願いしたかったことも伝えられて、「やってくれる?」と聞いたら、「いいよー」とOKしてくれた。うれしい。帰り際に「何時まで働くの?」と聞いたわたしに「今何時なの?」と質問に質問で返事をしてきたのが、妙におもしろかった。さっきまでいた『m-stance』の長嶋さんにもまったく同じことを聞いたのだけど、「みんなそれぞれですかねえ。忙しい時はそれこそ夜中までいますし!」と言っていた。そっか、ひとりで仕事していると定時とかないんだね、って思った昨日のわたし。ウェットスーツ、うれしいな。フィンもうれしいな。どんどん、作り手の顔が見えるものが自分の生活に増えていく。