「みもちゃんがいう『イケメン』はいろいろなタイプがいるからね」、以前友人に言われたことがある。
格好いいなあと思う男性はたくさんいて、総じてイケメンになる。たとえば生き方が格好いいなとか、似合っているお洋服を選んでいるなとか、色彩のセンスがいいなとか、やさしいなあとか、おもしろーい! とか。もちろん顔立ちの好みはあるけれど、年々、そういうことだけではイケメンだと思えなくなってきた。若いときは格好良かったけどね、って人もいる。反対に、年を重ねたほうが格好いい人もたくさんいて、『イケオジ』なんて言葉がうまれるのも納得。『イケオバ』は世間で聞かないが、年を重ねる意味は女性もそうでありたい。
いつも、朝の4時すぎから仕事をはじめる。事務仕事を中心に。ミシンは音が出るし、日の出から日没までと決めているので、8時くらいから。昨日の朝イチのミシンは、依頼のあったネルシャツの裾上げを二枚。古着屋で買ったが着丈が少し長いとのことで、数センチの裾上げ。着丈のバランスはとにかく大事。わたしもあらゆるものを数センチ単位で裾上げする。例えばTシャツ、例えばトートバッグの持ち手、例えばおそで。そうやって全体のバランスを取る。背が低いし、手足が短いので、既製品では着られてしまうことが多い。着丈を自分らしくなおすことで、着ている時にのびのびと、じぶんらしくいられる。数センチを気にして動きや気持ちが制約されてしまうことがものすごくストレス。その人がその人らしくいられることが、カッコよさに、スタイルにつながっていくと信じてミシンを踏んでいる。難しい修理は技術がないし、正直あまり興味もない。自分にできることは、人の気持ちに寄り添うようなこと。人には気づかれないような繊細なことに、手当をするように、手を動かせる人でありたい。
昨日はシャツの納品を兼ねて『TAS YARD』へ。杉江店長に修理したシャツを渡す。肌寒くなってきたし、そろそろシャツの出番だろう。季節に間に合って良かった。イケメン店長に、さらに磨きがかかりますように。
現地で待ち合わせをしたのはもうすぐ二十年の付き合いになる、もと同僚のYさん。ギター好きで楽器ならこの人!と思っている人。Yさんと杉江くんと三人でカレーを食べた。二人は音楽談義をしていたが、わたしにはわからない会話も多々。昨日の会話でウケたのは、絶望と黄昏について。変なところで盛り上がった。こういうのが気の合う証拠だよね、という変なポイントで。ランチをした後、Yさんのアテンドでお茶の水・神保町エリアで楽器屋巡り。この世界は危険だとすぐに肌で感じる。サーフボードで例えると、ハンドシェイプとファクトリーの違い、色の有無、サイズの違いなど、全く持って同じ危険性があり。あれもこれもと沼にハマりそうである。わからないことだらけだったけれど、Yさんの解説付きで楽しい楽器屋巡りとなった。欲しかったハーモニカも無事にゲット。終わって適当に街をプラプラしていたら『ランチョン』というビアホールがあり、そこでビールを呑むことに。三田で生まれ育ったYさんは、最寄駅が色々あるので、いつもふら〜とやってきては、色々な方法で自宅に帰る。時にバス、時に自転車、徒歩、たまには走って帰るらしい。昨日も「ここからだと7キロくらいかー、歩けなくはないな」とGoogleマップを見ながら言っていた。ニューヨークとかタイとか、色々な場所で育ったことも大きいと思うけれど、フランクで、人を逸らさない。格好つけないところがすごく格好いいところだけれど、本人そこに自覚なさそう。SNSとかも、なんの発信もしない。楽器と野球に、一途に恋してる。お互いに転職を繰り返しており、定住が苦手なタイプなので、一緒にいてすごく気が楽。「飽きちゃった」が両者の口癖で、言うたびに笑いが起きる。面白いし、優しいから、なんか好き。親想いの息子で、介護とか、いろんなことを経ての今。そういう姿も、知っている。昨日はお互いの近況を話し合って「あー、わかるわかる」と言って、笑って、笑い飛ばして、おかげで元気が出たよ。またそのうちに突然会おうぜ。