夫とはもともと大学のヨット部を通じて知り合ったので、ふたりともヨットが好き。ディンギーといって二人乗りの、セイルだけで走る船で、何度も一緒に海上を走った。夫はバブルが目の前ではじけた世代(?)で、ずっとバブル世代に憧れを抱いている。なので、キラキラしたものへの憧れがつよい。ディンギーもいいけどクルーザーも嫌いではない様子で、いつも散歩をするコースにマリーナがあるのだが、そこで足をとめて熱心に船を観察している。
夫はトムクルーズ主演の『トップガン』も大好き。特に2022年に公開された『トップガン マーベリック』の方は大好物みたいだ。枯れてきたイケおじトムが彼女とクルーザーで疾走するシーンも、そこでお召しのウェアがデニムだったりラルフローレンだったりするのも、トムの彼女役の女性がポルシェの古い911に乗っているのも、ぜーんぶがドストライクゾーンらしい。海のシーンになると「みもちゃんもみて!」と必ず言われるので、ちょっと面倒くさい。繰り返し見すぎていてちょっぴり怖いくらいだが、「トムが染みつている世代なんだよ」と言っていた。六歳の歳の差があるので、お互いの青春を理解できない点がたくさんあるが、おもしろいのでよしとします。
話が逸れたけれど、そろそろヨットを復活させたいね、と話している。わたしは16歳から波乗りを始めた。ヨットは19歳からだから経験は数年あとなのだが、あの気持ちよさはサーフィンとはほんとうに別物。車よりも最後は船がほしいくらいに、船もすき。テニスもオシャレだからはじめたいよねとわたしがいうと、ゴルフも打ちっぱなしくらいはいってみようかと夫がいう。で、スクールとか調べていて、子供の手が離れた途端に、盛り上がっているわたしたちだ。昨日も花見の後に散歩をしながらそんな話をしていた。「ここから教育費がかかるから、自分達のお稽古や趣味はあとにすべきか?って思うけど、そのうちにすぐ膝が痛いとかなってさ、で、あっという間に死んじゃうんだから、元気なうちに楽しんでおくべきだよね」というと、夫も「そうだよね」といった。この歳の夫婦って、そういう気持ちになるものなのだ。出会ったあの日、わたしはぴちぴちの二十歳で、大人だと思った夫だって二十六歳の若者だった。人生なんて、未来しかなかった。あれから30年くらいの時をかけて病気に怪我に入院、同時進行で子育てと介護。落ち込んだり沈んだりふさぎ込んだりやさぐれたりしつつ、よくがんばった。人並みにいろいろあったけれど、おおむね健康ないまに感謝しかない。
圧倒的に少ないけれど50代でこの世を去る人もいる。師匠は59歳で亡くなったし、絶対なんてないのだ。だから、バランスは大事だけれど、自分ファーストで、夫もファーストで、年功序列で楽しんでいきたい気持ちが、最近はつよい。夫は娘が生まれてから、ほんとうに幸せそうに娘を愛でている。そんな夫を見るのがわたしは一番すきだ。昨晩も、二人が『宇宙兄弟』のアニメを見ながら涙しているのをキッチンから眺めながら、なんとなく、キャロットケーキを焼いた。二人は甘党なところだけでなく、映画やアニメで泣くシーン、ファッションセンスなど、いろいろ感性が似ている。二人が出会うために、わたしは娘を産んだような気がしている。それは、娘を産んだ瞬間に思ったこと。なので、わたしのお役目はもう果たしたと言っても過言ではない、きっと。
娘とわたしは顔は似ているらしい。体型は全然ちがう。宇宙からやってきたような手足の長さ。娘はガチのインドア派で、運動神経はだいぶあさっての方に向かっている。でも、めちゃくちゃ可愛いし、スタイルもいいし、性格もいいから100点満点。勉強も、パパやママよりも全然熱心に、自主的に頑張っていてえらいねって眺めている。さて、春休みもいよいよ千秋楽です。ウェーイ! そろそろ行ってくれ〜。こっちは仕事がめちゃくちゃ溜まっているのだよ。