ほんとうのほんとうにすごい人や場所やものに出会うと、結局のところ「すごい、すごい、すごーい」しか言葉が出ない。こうして毎日言葉を綴っていても、自分のボキャブラリーは所詮そんなもの。心の感動を言葉にするのは簡単じゃない。
昨日は二宮へ。友人のKちゃんがアテンドしてくれて、『はらっぱベース』という場所に足を運ぶ。そこは『東京大学果樹園跡地』という場所にあるという。名前からして、そこはなあに?というような感じなのだが、行ってみてもう想像を遥かに超える素晴らしい場所だった。びっくりした。
『はらっぱベース』は、渡辺優子(わたなべ・ゆうこ)さんという女性が立ち上げた場所で、学校でも家でもない場所だ。今日は学校お休みしたいなぁとか、誰かに話を聴いてもらいたいなぁという時に、気軽に、気楽に足を運べる場所があったらいいな、という思いで立ち上げたそうだ。Kちゃんのご紹介で優子さんにお会いして、話をお聞きする中で、感動すること、驚くこと、共感する波のようなものが次から次にやってきて、パドルしてもしても、沖に出られないサーファーみたいな気分だった。「儲からないことをはじめちゃった」みたいにケタケタ笑っていたが、太陽のような人だった。眩しくて真っ直ぐに見られない太陽ではなく、陽だまりをつくってくれるような太陽。彼女が救っているだろういくつもの命、癒しているであろう無数の傷、それぞれが見つけていくのであろう光の道標(みちしるべ)が、この広い場所でもぜんぜん足りないくらい。そんな、有り余るエネルギーを感じた。胸がいっぱいになる。教育や福祉など、自分は関心がうすくてあまり参加してこなかったし、これから先もそうかもしれない。けれど、彼女の活動は継続して応援したいと心から思った。この、東京大学果樹園跡地という場所、ちょっとびっくりするくらいに素晴らしくて、とにかく言葉を失う。一回足を運んだくらいでは簡単にのみこめなかったので、近いうちまた再訪する、必ず。
自分の人生や命を使い切ると考えたとき、優子さんの英断をまず思い浮かべるだろう。正社員だった職をあっさり手放し、こどもとの時間を優先させ、収入がごっそりと激減した分は知恵と工夫で乗り切り、さらにはこんな場所まで立ち上げたのか。あっぱれのひとこと。しがみついて生きていく、みたいな気持ちがなかった訳でもないと思う。けれど、手放した途端に彼女を包む世界はきっと変わった。ぐわんぐわんと、音を立てておおきく動き出したのではないか。神様に選ばれたひと、導かれたひとは、肝が据わっているから本物だとすぐにわかる。地位も名誉もお金も安定もいらない感じ。なにもなくても、なにも怖くないのだろう。達観しているなと感じた。すごい一日だった。ものすごく元気になって、帰路につく。出会えてほんとうに良かった。Kちゃん、ありがとう。